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世界を食べたキミは無敵。

小さい頃おいしゃさんごっこをして遊んでいて、いつか大人になってもずっと続けている、そんな人生

本当は怖い!?当直の実態

夜の病院は恐ろしい。

恐ろしいと言っても、お化けだとか幽霊だとかそういった類のお話ではない。恐ろしいのはいつでも生身の人間だ。病院においてすでに死んでしまった人間(あるいはそれが化けて出たものだとしても)はそう恐ろしいものではなく、本当に恐ろしいには今まさに死のうとしている人間だ。なので『病院はお化けが出そうで怖い』というのはある意味ジョークにすら感じてしまう。生きるか死ぬか、その間でさまよっている瞬間の人間は恐ろしい。血圧が200と40の間を行ったり来たりしている。なんということ。心臓が動いていない。脈拍が30を切った。生きているから怖いのだ。なんとか命をつながなきゃ。・・そんなことを言っている私がある意味怖いのかもしれない。全然可愛らしくない。のである。

それはさておき、夜の病院に言った経験はあるだろうか?夜の病院、あるいは日中の正規の診療時間が終了したあとの病院、つまり救急外来のことである。たいてい救急外来、あるいは救急車できた患者の対応をしているのは若手の医者である。それも、若手も若手、ひよっこ研修医が診療にあたっている可能性はかなり高い。専門分野をまだ持たない研修医にとって、救急外来は重要な仕事である。彼らは正規の診療時間が終わってからが本番なのである。研修医は救急対応の最前線にだされて歩兵のように働いている。たいした武器も持たずほとんどの場合は体当たりで診療しているもとの思われる、わたしの場合もそうだった。ポケットに赤本をつっこみ、患者さんを『ちょっと待ってください』といって診察室から出して、必死で該当ページを探す。そんな経験は9割くらいの医者はしているのではないだろうか。大事なのは『いっぱいいっぱいであることを悟られない顔』をすることである。見た目から若い研修医は、そもそも患者さんから不信感を持たれやすい。そんな中で『えーっとえーっと』なんて言おうものなら『もっと上の医者を呼んで来い!』と怒鳴られてしまう。もっと上の医者はもっと重症な患者の対応で手が空いていない・・そんな中で大したことのない用事で呼び出したらそちらからも怒られてしまう、なので、水面下でばたついている白鳥のように不安な気持ちを必死で隠し、余裕で泳いでいる様子をみせるのだ。ぼくちゃんとひとりで泳げるもん。と。

そんな初期研修2年間が終わったピカピカの3年目であるわたしを待っていたのは、ひよっこたちの面倒をみて、彼らの責任を負うことであった。それなりの病床数をもつ小中規模の当病院であるが、当直体制は、3~10年目くらいの若手医師1人+研修医1人の2人体制なのである。つまり、わたしと、研修医ひとり、たった2人で救急車と、救急外来をまわしている。

診断がつき入院治療が必要な場合、該当する科の待機の医者を呼べば、まあたいていすぐに来てくれる。ただ、診断をつけるまでは、ふたりぼっちの孤独の救急なのだ。もちろん常に2人セットで行動しているわけではなく、研修医がひとりで外来をすることもある。わたしが当直をしているときには、研修医はいちおう独断では患者を帰らさせないようにしているので、一通りカルテや検査結果を見てGOサインを出すことにしている。けれど、それができていないことも往々にしてあるだろう、そういう話も聞く、それがいまの救急の実態なのだ。

とは言っても、わたしだって3年目、そんなに経験豊富なわけではない。泣きそうになる瞬間がいくらだってあり、けれどそんな顔を研修医、看護士さん、まして患者さんにみせられるわけもなく、歯を食いしばって笑顔で診療している。慣れないエコー片手に心臓の動きをみて、CT画像を何度も何度も行ったり来たりさせながら、free airはないかどうか目を皿のようにして探す、起きている時間が24時間を超えるともはや、何のために救急をしているか分からなくなる時がある、患者さんのため、それとも自分のためなのか・・

けれど、どんな泣き言を言っても、自分が止まってしまっては、救急の業務すべてがストップしてしまう。泣いても目の前の患者さんの診断はつかない。泣いても患者さんの命は救われないのだ。

診療時間外に来る患者さんは、それなりの理由があるのだ。次の日まで待てない、何らかの理由が。そう、そう信じている。そう信じて診療をしている。

 

明日は当直だ。明日、この地区のみんなの健康を祈って。そして、どうか・・どうか、飲みすぎないでください!!アルコール中毒は、けっこう、大変なんです!!特に、女の子・・吐しゃ物まみれでは、可愛らしい洋服も、メイクも、台無しだよ!!成人しているのだから、みんな自分のキャパシティーを把握して、節度ある飲み会をしてください!!明日、飲み会の人は、となりで飲みすぎていないか・・しんどそうにしていないか・・みてあげてください!!吐き始めたら、身体を横にして、吐しゃ物で窒息しないようにしてあげてください!!あと、無事居酒屋をでられても、家までの道のりで側溝に落ちてしまう人が多々います!!転ばないように!!あと、駅のホームにも落ちないように!!まあ、けど、どうしても・・どうしても命が心配ならどうぞ、病院へ。遠慮せず来てください、わたしが笑顔で対応しますから(*δωδ*)」