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世界を食べたキミは無敵。

小さい頃おいしゃさんごっこをして遊んでいて、いつか大人になってもずっと続けている、そんな人生

親知らずを抜いた

健康のこと

はじめて親知らずを抜いたのは、たぶん、4年前のことだったと思う。右上に生えた親知らずが虫歯になりかかっていた。その時には最初にかかった開業医の先生がそのまま抜いてくれて、しかもほとんど痛みもなかったのを覚えている。親知らずを抜くことになったという話をしたとき、たいていの友人は『麻酔の注射がすごく痛い』『次の日に顔の形が変わる』『1週間うどんしか食べられなかったから痩せた』と親知らずを抜いたあとの悲惨なエピソードについて語り、わたしを脅した。なので、かなり覚悟を持って臨んだのだが、歯茎に打つ局所注射も、ペンチのようなもので歯を抜くときも全く痛くなかったし、その後腫れることもなかった。

 

そういうこともあり、今回左下の親知らずが虫歯になりかかったときにも、はっきりいってかなりなめていた。今回は以前とは別の歯科にかかり、抜歯するにあたり一度歯全体のレントゲン写真を撮ったのだが、その時先生に『左上の親知らずも虫歯になりかかっていますね。横の歯を圧迫しているようですし。こちらも抜いたほうがいいかもしれませんねえ。』と提案された。けれど0の痛みが2倍になっても0なのだし、1本抜くのも2本抜くのも大して変わりはなく、『あ、そうですか』くらいで、特別何か思うこともなかった。

 

後から知ったことだが、どうやら、下側の親知らずの抜歯というのは、上側とは比べ物にならない痛みを生じるらしい。

 

2日前、近くの大病院にて、かなり大袈裟な感じで親知らずの抜歯手術を受けてきた。親知らずは、2本同時に抜いた。情けないことに、まず、手術中に(といっても2本抜くのに10分くらいで終わったのだけれど)局所麻酔の追加注射をお願いした。そしてゴリゴリと抜かれている最中、顔にガーゼをかけられていたのだが、わたしはひっそりと泣いていた。痛いのだ。下側の親知らずは、上側を抜くときと天と地ほどの痛みの差があった。なんだか、骨から直接歯をはがされてる気分で、冷や汗がどっとあふれてきていた。ちなみに、その時のわたしの収縮期血圧は100を切っており、緊張のため脈拍は110を超えていた。完全にショックバイタルだ。

涙をこぼし、ガーゼを噛みながら、わたしは近くの調剤薬局に鎮痛剤と抗菌薬をもらいにいった。大病院だったので会計処理に時間がかかり、その間に麻酔がきれかかっていた。こんなことなら、家からロキソニンを持ってくるんだった。わたしはなめていたのだ。下側の抜歯はこんなにも痛いなんて。

調剤薬局では半泣き状態だったし、頬が腫れ始めていて、さらに口半分が麻酔のため麻痺しており、うまくしゃべることが出来なかった。ほんとうに情けない28歳だった。優しい薬剤師さんが『いま、ここでお薬飲みますか?』といって、紙コップに水を入れて持ってきてくれた。急いで鎮痛薬を飲もうと口に水を含んだら、噴水のように左側の口から水が『ぴゅー』と飛び出した。うわっと思い慌ててタオルで服にこぼれた水を拭いた。そうか、いま自分は左側顔面麻痺状態なのだ。いや、局所的すぎるので、視床梗塞とか、そういったときの症状に近い。『片側の口唇から水がこぼれる』というのは、こういう状態のことを言うのだ。ひどいありさまだ。上側の親知らずの抜歯の時は、こんなことはなかったのに。

 

初日は1日3回のロキソニンに、頓服でもらったハイペンを、すがるような気持ちで飲んだ。そして翌朝は痛くて目が覚めるくらいの痛みは続いていたが、もう口の端っこから水がぴゅーとこぼれることはなくなった。ハイペンも無しで耐えれるようになった。顔は、思ったよりは腫れなかった。もともと髪の毛で頬を隠しているため、あまり目立たないのかもしれない。友人に言われてセルフィ―で毎日自分の顔写真を保存しているが、それほど変化はないように見える。

まだ左側の歯でものを噛むのはためらわれるので、柔らかいアイスとか食べていて、あまりバランスのよくない食生活をしている。きょうはスタバで、ほうれん草とベーコンのキッシュを食べた。キッシュは柔らかく、歯に優しい。

そういえば、親知らずは上下左右4本に生えるものだが、4本すべて存在しているひとはそれほど多くないらしい。わたしはもともと3本しか存在しなかったうえに、すべてを抜いてしまったので、もうこの教訓を生かすことはなくなってしまった。けれど、もし誰かが親知らずを抜くということになったとき、それが下側だったら、きっとわたしもその痛みについて脅すような人間になるのだと思う。

 

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