世界を食べたキミは無敵。

小さい頃おいしゃさんごっこをして遊んでいて、いつか大人になってもずっと続けている、そんな人生

童顔と鳥貴族

昨日初めて鳥貴族というお店に行ってみた。

なぜ鳥貴族を選ぶことになったかというのはたまたま歩いていたら目に入ったからというのもあるのだけれど、わたしも、そして隣を歩いていた友人(若槻千夏に似ているのでちーにゃんとする)も金欠だったからというのが大きな理由だった。

ちーにゃんは同じ病院で働いている看護師さんだ。ちーにゃんはわたしが関わっている神経内科の病棟で働いていて、わたしと同い年の28歳だ。去年の4月に初めてこの病院に赴任して、誰も知り合いのいないナースステーションでわたしがひとりオロオロしていたところを(初めての職場でのナースステーションという場所はとてつもなく精神力を削られる場所なのだ)一番最初に話しかけてくれたのがちーにゃんだった。

ちーにゃんは人懐っこい笑顔と裏表のない性格で花に例えるならひまわりのような女の子だった。背が小さくてリスのようにもみえる。そしてかなりの童顔だ。昨日は笑点が好き(しかも毎週録画をしているらしい)ということをカミングアウトしてきて、最近は『木久扇さんが新しい話題についていけていないようで見ていて辛い』と言っていた。童顔の悲しそうな顔で木久扇さんの心配をしている姿はなんだか笑えて吹き出してしまった。

ちーにゃんのおかげで得をしていることといえば、ついでに一緒にいるわたしも若くみられることだった。

昨日鳥貴族に行ったとき、わたしたちのテーブルを担当してくれた店員さんは、インド系の顔をした、おそらくわたしたちよりも若そうな、『ミジェル』という名札を付けた男の子だった。ミジェルは若くて日本語もままならない感じだったけれど、衛生管理責任者の名札も付けていて驚いた。他に接客対応をしていた店員さんも軒並みインド系の顔をしたひとたちで、グローバルな雰囲気だった。メニューには『全商品国産です!!』と大きく書かれていて、なんとなく複雑な気持ちになった。

わたしたちはまず、シャンディガフを頼むことにした。ミジェルに『シャンディガフ2つください』と伝えると、わかりました、といって一度厨房の方へ戻っていったかと思うと、すぐに再び戻ってきて、『年齢確認のために身分証明書をみせてください』と言った。え、と思って、みんなに確認しているのかと思ったけれどそんな雰囲気もなさそうで、『もしかして私たち未成年に思われたのかな・・』とわたしもちーにゃんも同じ思いで無言でちらっとふたりで目を合わせ、財布から免許証を各々取り出した。若く見られることは確かに嬉しい、それは嬉しいのだけれど、さすがに未成年には見えないだろう。もうわたしたち28ですよ、28。

そしたらわたしたちの免許証をみたミジェルが、怪訝そうな顔をして、困ったように免許証とわたしたちの顔を見比べてきた。

わたしたちの誕生日は、ともに『昭和63年』である。

あ、と思った。ミジェルは、『昭和』という字が意味するところが分からないのだ。たぶん、これまで免許証で確認した未成年もしくは未成年と思われる人々は、みんな平成生まれだったのだろう。

わたしたちは、あまり日本語が堪能ではなさそうなミジェルに、『これは、しょうわ、って読みます!!』『わたしたち、ふたりとも、28さい!!』と日本語で一生懸命伝えた。店内は騒がしかったので、大声で『わたしたち28さい!!』とふたりで叫んだ。嬉しい誤解だったはずなのに、なんだかみじめな気持ちだった。外人の人から見ると、日本人は童顔にみえる、ということをどこかで聞いたことがある。ミジェルはいったいわたしたちがいくつに見えたのだろう。

 

ともあれミジェルに昭和という年号が持つ意味について伝わったところで、クリーミーな泡が乗ったおいしそうなシャンディガフが運ばれてきた。わたしたちはシャンディガフとおいしい国産の焼き鳥を食べながら、今後の婚活について作戦会議を始めたのだった。